こんにちは。はたらくわ編集部です。
毎日仕事に家事に忙しく過ごしていると、なんとなくモヤモヤしたり、知らず知らずのうちにストレスが溜まってしまったりすることってありますよね。「何か手軽に発散できる方法はないかな」と探している中で、最近よく耳にする「ジャーナリング」や「書く瞑想」という言葉にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。書店でも関連書籍が増えていますし、SNSでも実践している人の投稿を見かける機会が増えました。
でも、いざ「やってみようかな」とペンを手に取ってみても、「これって、子供の頃に書いていた普通の日記と何が違うの?」「ただ思ったことを書くだけで、本当にメンタルに効果があるのかな」と疑問に思うこともありますよね。忙しい毎日の中で時間を割くなら、意味のあることだけを取り入れたいと思うのは当然のことです。
実は、ジャーナリングは日記とは似て非なるものであり、書き方や意識の向け方を少し変えるだけで、心を整え、脳のパフォーマンスまで高めてくれる強力なセルフケアツールになるんです。この記事では、ジャーナリングと日記の決定的な違いから、科学的に裏付けられた驚きの効果、そして今日からすぐに実践できる具体的なやり方までを網羅的に解説していきます。
- ジャーナリングと日記の決定的な違いと、目的に応じた正しい使い分け方がわかる
- 「書く瞑想」と呼ばれるジャーナリングがもたらすストレス軽減などの科学的効果を学べる
- 明日からすぐに実践できる具体的な書き方の手順や、ペンが止まった時のおすすめテーマを知れる
- 逆に落ち込んでしまうのを防ぐための、ネガティブな思考の取り扱い方や注意点を理解できる
ジャーナリングと日記の違いや効果を知り心を整える

まずは、多くの人が混同してしまいがちな「ジャーナリング」と「日記」の根本的な違いについて、深く掘り下げていきましょう。どちらも「ノートに向かって文字を書く」という行為自体は同じですが、実はその目的、意識の方向、そして期待できる効果には大きな隔たりがあります。この違いをしっかりと理解することで、「今の自分の心の状態に必要なのはどちらなのか」がクリアに見えてくるはずです。
書く瞑想と呼ばれるジャーナリングの意味とは
ジャーナリングは、近年では別名「書く瞑想(マインドフルネス・ライティング)」とも呼ばれ、Googleなどの世界的企業でも研修プログラムに取り入れられるほど注目されています。瞑想(マインドフルネス)と聞くと、静かな部屋で座禅を組み、目を閉じて呼吸に集中する姿をイメージする方が多いかもしれません。「じっとしているのが苦手」「雑念が浮かんできて集中できない」という理由で、瞑想に苦手意識を持っている方もいるでしょう。
しかし、ジャーナリングは「手を動かしながら行う瞑想」です。頭の中に次々と浮かんでくる思考や感情を、フィルターを通さずにありのまま紙に書き出す作業そのものが、瞑想状態を作り出します。ここで最も重要なのは、「評価や判断を一切しない」ということです。
私たちは普段、「こんなことを考えてはいけない」「もっとポジティブにならなきゃ」「こんな汚い言葉を使ってはダメだ」と、無意識のうちに自分の思考を検閲し、抑え込んでいます。ジャーナリングでは、そうした理性の蓋を外し、「あームカつく!」「もう辞めたい」「お腹すいた」といった脈絡のない思考も含めて、今の自分の心の中を実況中継するように書き出していきます。
自分の内面にあるモヤモヤやイライラ、不安、喜びなどを、善悪の判断をせずに外に出してあげること。それによって、「今ここ」にある自分自身を客観的に見つめる(気づく)ことができるようになります。このプロセスこそが、マインドフルネスの定義である「今この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずにただ観ること」と完全に一致するため、「書く瞑想」と呼ばれているのです。
目的や時間帯など日記との具体的な違い
では、私たちが夏休みの宿題や日々の記録として親しんできた「日記」とは、具体的にどこが違うのでしょうか。一見似ているようでいて、実は「誰のために、何のために書くか」というスタンスが真逆だったりします。それぞれの特徴をわかりやすく比較・整理してみました。
| 項目 | ジャーナリング(書く瞑想) | 日記(ダイアリー) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 「今」の感情の吐き出し・思考の整理・デトックス | 「過去(その日)」の出来事の記録・保存・思い出作り |
| 意識の方向 | 内面(感情、思考、モヤモヤ、本音) | 外面(どこに行った、何をした)+感想 |
| 書き方 | 形式自由、文法・誤字無視、殴り書きOK、箇条書き可 | 時系列、文章としての体裁を整える傾向、綺麗に書く |
| 時間帯 | 24時間いつでも(感情が動いた時、朝一番、仕事前など) | 一日の終わり(夜)、寝る前が多い |
| 読み返し | 客観視のために直後に読み返す、または捨てても良い | 過去の思い出として後日読み返す、未来の自分のため |
| 他人への公開 | 絶対に見せない前提(本音を晒すため) | ブログやSNSで公開することもある(見られる前提) |
このように比較してみると、違いが浮き彫りになりますね。日記は「今日は〇〇カフェに行った。パンケーキが美味しかった」というような、事実や出来事の記録(レコード)としての側面が強く、後で読み返して楽しむ「未来の自分」や、場合によっては「他人」に向けて書く「よそ行きの文章」になりがちです。
一方、ジャーナリングは「今、上司のあの言い方に猛烈に腹が立っている。なぜなら…」というように、現在進行形の感情や思考の過程(プロセス)そのものを扱います。誰にも見せないことを前提に、心の奥底にあるドロドロした感情や、人には言えない弱音まで、すべてを「すっぴん」の状態でさらけ出すことが重要です。「きれいな文章を書こう」と思った瞬間に、それはジャーナリングではなくなってしまうと言っても過言ではありません。
ストレス軽減や脳内整理などのすごい効果
「ただ書くだけで本当に楽になるの?」と半信半疑の方もいるかもしれません。しかし、ジャーナリングの効果は、心理学や脳科学の分野でも数多くの研究によって裏付けられています。
特に有名なのが、テキサス大学の心理学者ジェームス・ペネベイカー教授による研究です。彼は、トラウマや精神的なストレスを感じた体験について、その感情や思考を深く書き出すこと(エクスプレッシブ・ライティング=筆記開示)が、心身にどのような影響を与えるかを調査しました。その結果、定期的に感情を書き出したグループは、そうでないグループに比べて、ストレスレベルが下がるだけでなく、免疫機能が高まり、血圧が低下し、さらには病院に通う回数まで減ったという驚くべきデータが報告されています。(出典:アメリカ心理学会「Speaking of Psychology: Expressive writing can help your mental health」)
なぜこのような効果があるのでしょうか。一つは「カタルシス効果(浄化作用)」です。ネガティブな感情を言語化して体の外に物理的に書き出すことで、脳の扁桃体(不安や恐怖を感じる部位)の過剰な興奮を鎮めることができます。感情は、頭の中でぐるぐると考えているうちは実態のない「お化け」のようなものですが、文字にして可視化することで「正体」がわかり、対処可能なものへと変わるのです。
また、自分の思考を紙の上に客観的に書き出すことで、「私、こんなことで悩んでいたんだ」「いつもこのパターンで失敗しているな」と、第三者視点で自分自身に気づくことができます。これを「メタ認知能力の向上」と言います。メタ認知が高まると、感情の波に飲み込まれにくくなり、冷静な判断ができるようになるため、結果としてストレス耐性が強くなるのです。
睡眠の質改善やパフォーマンス向上への影響
メンタルヘルスの改善だけでなく、日々の仕事のパフォーマンスや身体的なコンディションにも、ジャーナリングは良い影響をもたらします。
仕事中、「あれもやらなきゃ」「このメールの返信どうしよう」と雑念が浮かんで集中できないことはありませんか? これは脳の「ワーキングメモリ(作業記憶)」が一杯になっている状態です。ワーキングメモリは、パソコンで言うところの「メモリ」のようなもので、容量には限りがあります。懸念事項やToDoを頭の中に留めておくだけで、メモリは消費されてしまうのです。
そこで、ジャーナリングを使って頭の中にある「気になること」をすべて紙に書き出してみましょう(これを「ブレインダンプ」とも呼びます)。書き出すことは、データを外部ストレージ(紙)に移して、脳のメモリを空にする作業と同じです。メモリが解放されると、脳の処理速度が上がり、目の前のタスクに対する集中力や判断力が劇的に向上します。
また、睡眠の質の改善にも効果的です。夜、ベッドに入ってから「今日のあの発言、大丈夫だったかな」「明日のプレゼン失敗したらどうしよう」と考え込んでしまい、目が冴えてしまう経験は誰にでもあるでしょう。寝る前に5分程度、不安や心配事を書き出して「悩みのアウトソーシング」をしておくと、脳が「これはもう記録したから忘れても大丈夫」と認識し、安心して休息モードに入ることができるようになります。
モーニングページなど代表的な手法の紹介
ジャーナリングにはいくつか種類がありますが、世界中で多くのクリエイターやビジネスパーソンに実践されている有名な手法として「モーニングページ」があります。これは、ジュリア・キャメロン氏の著書『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』で提唱されたメソッドです。
ルールは、「朝起きてすぐ、A4のノート3ページ分、頭に浮かぶことをひたすら手書きで埋める」というもの。正直、A4ノート3ページというのは、慣れていないとかなりの分量に感じますし、時間も30分~40分ほどかかるハードなものです。
なぜ「朝一番」なのでしょうか? 寝起き直後の脳は、まだ現実的な思考(理性や論理)が完全には働いておらず、無防備な状態です。このタイミングで書くことで、普段は理性の検閲によって抑え込まれている「潜在意識」からのメッセージや、本当にやりたいこと、深い本音にアクセスしやすくなると言われています。著者はこれを「脳の排水」と表現しています。朝のうちに脳内のネガティブな感情やモヤモヤをすべて排水してしまうことで、その日一日をクリアな思考と高い創造性を持って過ごせるようになるのです。
モーニングページのコツ
最初は3ページも書くことがなくて苦痛かもしれません。そんな時は「眠い」「書くことがない」「お腹すいた」「めんどくさい」といった言葉でもいいので、とにかく手を止めずにノートを埋めていくのがポイントです。書いているうちに、ふと深い思考が顔を出す瞬間が訪れます。
ジャーナリングと日記の違いを理解し効果的な実践へ

ジャーナリングと日記の違いや、その科学的なメリットがわかってきたところで、実際にどうやって始めればいいのか具体的なステップを見ていきましょう。「ちゃんとしたノートを買わなきゃ」「毎日書かなきゃ」と身構える必要はありません。もっとカジュアルに、心を整えるための「相棒」として取り入れてみてください。
初心者でも簡単なジャーナリングのやり方
基本的には「自由に書く」ことが正解ですが、効果を最大限に引き出すための推奨される手順があります。特に慣れないうちは、以下の4ステップを意識して進めてみるとスムーズです。
- 環境を整える:集中できる静かな場所を選びます。スマホの通知はオフにするか、遠くに置いておきましょう。お気に入りの飲み物を用意するのも良いですね。
- 時間を決める:ダラダラ書くよりも、「5分間」や「15分間」とタイマーをセットして、制限時間を設けるのがコツです。時間が限られていると脳に適度な圧力がかかり、本音が引き出されやすくなります。
- 手を止めずに書き続ける:これが最も重要なルールです。考え込んでペンを止めてしまうと、すぐに理性が働き始め、「良いことを書こう」としてしまいます。思い浮かんだことをそのまま、文脈など無視して書きなぐります。「書くことがない」と思ったら、「書くことがない、どうしよう、白い壁が見える…」と、その思考自体を書きます。
- 本音を隠さない(誤字脱字は無視):誰かに見せるものではないので、字が汚くても、漢字を間違えても全く問題ありません。丁寧な言葉を使う必要もありません。「バカヤロー!」でも「辛いよー」でも、心に浮かんだ言葉をそのまま紙に叩きつけてください。
何を書くか迷った時のテーマやお題の例
いざ「さあ、書こう!」とノートを開いても、真っ白なページを前にすると頭まで真っ白になってしまうことはよくあります。そんな時は、あらかじめ「お題(プロンプト)」を用意しておくと、思考の呼び水となってペンが進みやすくなります。その日の気分に合わせて、いくつか選んでみてください。
感情を深掘りするテーマ
- 「今、この瞬間に何を感じている?(身体の感覚も含めて)」
- 「最近、心が大きく動いた出来事(ポジティブ・ネガティブ問わず)は?」
- 「なぜ、あの時あんなにイライラしたんだろう?本当はどうしてほしかった?」
未来や願望を探るテーマ
- 「もし時間もお金も制限がなかったら、どんな理想の1日を過ごしたい?」
- 「5年後の自分はどうなっていたい? 誰とどこにいる?」
- 「私が一番恐れていることは何だろう? それは本当に起こる?」
自己肯定感を高めるテーマ
- 「今の自分自身に感謝できることは?」
- 「今日あった『ちょっと良かったこと(Three Good Things)』は?」
- 「私の長所や、人から褒められたことは?」
手書きノートやスマホアプリを活用するコツ
ジャーナリングを行う際、「手書き」か「デジタル」か迷う方もいるでしょう。脳科学的な観点からは、圧倒的に手書きのノートとペンが推奨されています。手を動かすという複雑な指先の運動が脳の前頭葉を刺激しますし、手書きの方が感情のアウトプットがスムーズに行われるという研究結果もあります。また、物理的に「書く」という行為がリズムを生み、瞑想状態に入りやすくなるのです。
しかし、現代の働く女性にとって、常にノートとペンを持ち歩き、机に向かう時間を確保するのは難しい場合もあります。そんな時は、スマホのメモ機能や、ジャーナリング専用のアプリ(『muute』や『Day One』など)を活用するのも賢い選択です。
アプリのメリットは、通勤電車の中や待ち合わせの隙間時間にサッと実践できること、そしてパスワードロックがかけられるためプライバシーが守られやすいことです。写真と一緒に記録できたり、過去の投稿をランダムに振り返れたりする機能も便利です。
「朝や夜、家でじっくり自分と向き合う時はお気に入りのノート」、「日中、イライラした瞬間の緊急避難としてはスマホアプリ」というように、シーンに合わせて使い分けるのが最も現実的で続けやすい方法かなと思います。
危険で逆効果?ネガティブな内容への注意点
「ジャーナリング」と検索すると、サジェストに「危険」「逆効果」といった不穏なワードが出てきて心配になった方もいるかもしれません。これは、やり方を間違えると、かえって気分が落ち込んでしまうリスクがあるからです。
注意すべきは「反芻(はんすう)思考」です。過去の嫌な出来事や、自分へのダメ出し、解決しようのない悩みを、ただ延々と書き連ねて、何度も何度も読み返してしまうと、脳がそのネガティブな感情を強化してしまいます。これではストレス発散どころか、傷口に塩を塗るようなものです。
ネガティブ沼にはまらないために
辛い気持ちを吐き出すことは、最初のステップとして非常に大切ですが、そこで終わらせないのがコツです。「あー辛かった!」と書き殴った後は、必ず視点を切り替えましょう。
例えば、最後に「じゃあ、本当はどうしたかった?」「この経験から学べることは何だろう?」「この件について、私がコントロールできることはある?」と自問し、未来志向や解決策に目を向けて文章を締めくくります。これを「意味の再構成」と呼びますが、物語の結末を自分で書き換えるような感覚を持つことで、ポジティブな効果を得られます。
ジャーナリングと日記の違いや効果を活かし習慣化
ジャーナリングは、一度やったからといって劇的に人生が変わったり、全ての悩みが消え去ったりする魔法ではありません。しかし、筋トレと同じように、続けることでじわじわと「心の筋肉」が鍛えられ、ストレスに対するしなやかさが育っていきます。
習慣化の最大の敵は「完璧主義」です。「毎日書かなきゃ」「3ページ埋めなきゃ」「良いことを書かなきゃ」という思い込みは捨てましょう。書きたくない日は書かなくていいですし、1行だけでも、落書きだけでも構いません。「心がザワザワした時の常備薬」くらいの感覚で、カフェでコーヒーを飲むように、日常の隙間に「5分だけ書いてみよう」と取り入れてみてはいかがでしょうか。
書き終わった紙は、スッキリしたらビリビリに破いて捨ててしまっても良いのです(むしろ、それが快感になることも!)。まずは今日、ノートの端っこや裏紙に、今の正直な気持ちを書き出すことから始めてみてください。きっと、書き終えた後の「心の軽さ」に驚くはずですよ。
※本記事で紹介している効果には個人差があります。精神的な不調が強く続く場合や、トラウマと向き合うのが辛すぎる場合は、無理をせず専門家にご相談いただくことをおすすめします。

